昨年、選考委員としてご協力いただいた川本義巳さま(公認心理師&メンタルコーチ)より、エントリー作品の書評をお届けします!
悩み方教室 河田真誠 著 CCCメディアハウス 2021年4月発売 |
書評
メンタル本大賞2022エントリー作品の紹介です。
今回は『悩み方教室』です。
河田真誠さん著でCCCメディアハウスさんから出ています。
この本の感想をひとことであらわすと
「悩みの問題ではなくて悩み方の問題」
もうね、おっしゃる通り!ですね。
無くそうと思ってもなくならないものなら「どう付き合うか?」
コーチという仕事をしていて、いつも思うことは「人の悩みは尽きない」ということ。
1個悩みを解決しても、また次の悩みが出てくるし、いくらメンタルを鍛えても、それでも悩みは生まれます。
だとすれば、悩みについて悩むのは意味がないことなのでは?
そう思うわけですけれどもそれにズバリ答えてくれたのが、この本でした。
そう、問題は悩みがあることではなくて、「どう悩むか」。
悩み方の問題なんです。
冒頭6ページにいきなり「悩みはうまく付き合うと、本当はいいやつなのだ」という一文がありますが、これを見てきっと眉をひそめる人もいると思うし、「悩みなんかない方がいいに決まってるじゃないか!」とお怒りになられる方もいると思います。
でもね。無くそうと思ってもなくならないものなら、「どう付き合うか?」を考えてみることは悪いことではないですよね?
この本はまさにそのことを教えてくれています。
「悩むことができてよかった」そう思える温かい本
第一章からいきなり「悩みと親友になる」というタイトルがついていますが、なぜ悩むのか、そしてなぜ悩むと幸せになれるのかから始まります。
ここはすごくわかりやすく書かれているので、ぜひ読んでいただくとして、今回紹介したいのは、第1章の後半「やりがちな勘違い」についてです。
7つの勘違いが書かれているのですが、どれも「あーその通りだ」と思えたり、「だからしんどくなるのか」と納得できたりと、一番共感ができた個所でした。
この7つの勘違いなんですがこんな感じ。
- 時が解決する
- アドバイスを鵜吞みにする
- できない自分を責めてしまう
- たくさん勉強すれば...
- 周りを変えようとする
- 自分を誤魔化す
- 「どうせ...」とあきらめる
中身を見ずともこの言葉だけでイメージ湧きませんか?
僕なんかは特に最後の2つ「自分をごまかす」と「どうせ...」と諦めるが超絶ヒットでした。
「うわーごめんなさい!!」って感じですよ、これ。
全編通して、読みやすいしわかりやすい本です。
いつも悩んでしまう人は、「何をすればいいんだろう」と悩む前にこの本を読んで正しく悩みましょう。
読み終えたあとに「悩むことができてよかった」そう思える温かい本です。
評者プロフィール
メンタル本大賞2021 選考委員
川本義巳(かわもと・よしみ)
三重県松阪市生まれ津市在住。
うつ専門メンタルコーチ/公認心理師/一般社団法人エフェクティブコーチング協会代表理事。高校卒業後、SEとして20年以上メーカーに勤務。大手IT企業への転職を機にうつ病を発症、寝たきり状態になり、1年2か月の休職を余儀なくされる。2007年コーチングに出合い、うつ病を完全克服。それを機にうつ専門のプロコーチになることを決意。コーチング、NLP、アドラー心理学、エリクソン催眠を学び、それらを応用したメソッドを開発し、2010年個人コーチングを開始。自治体や上場企業でのメンタルヘルス研修講師や精神科クリニック、児童相談所、教育委員会での相談業務等でも経験を積み、10年間で1万件以上の相談、指導を行っている。
1日3分でうつをやめる。 川本義巳 著 扶桑社 2019年10月発売 |