閉店前の文信堂書店 長岡店で文芸書・ビジネス書を担当。現在、小学館の小説ポータルサイト「小説丸」にもコラムを寄稿されている 實山美穂さま(元書店員) より書評をお届けします。
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【全国の学校図書館・保健室へ】生きづらさを感じる小学生に〈自己肯定感〉を育む本を
「どうせ自分なんて」と思う君に、知っておいてほしいこと 名越康文 監修/加藤隆行 文 小学館クリエイティブ 2023年8月発売 |
書評
易しい言葉で表現され、漢字にはふりがなもふってあるので、お子さんがひとりで読んで、理解しやすいように書かれてあります。
もちろん大人が読んでも問題ありません。
悩みがあったり、自分に自信がなくて、この本に興味をひかれたとしたら、意外な結果になるかもしれません。
自分のことを考えていたはずなのに、他人のことも教えてくれるからです。
友だちも親も先生も、もしかしたら同じことを悩んでいるのかも、と気付かせてくれます。
私の実際にあった経験ですが、小学生の時、仲良しの友だち数人と交換日記をしていました。
私の父が亡くなり、忌引き明けに回ってきた交換日記には、私の悪口がびっしり。
いろいろと書かれてありましたが、悪口といっても「あの子って八方美人だよね~」などの、誰にでもありそうなことばかりでした。
なんでこんなものを私に回すのか理解できない気持ちと、友だちに裏切られた気持ちで、呆然としたことを今でも覚えています。
そんな交換日記があったことを、書いた人たちは覚えていないでしょうが、今思うとこの出来事は、私が心理学に興味を持ったきっかけのひとつかもしれません。
あの時に、こんな本と出合っていたら、違う私になっていたのでしょうか。
自分を受け入れ、自分を信じる。自分が、自分の味方になる。
簡単なようでいて、実は難しいことではないでしょうか。
どうしたらいいのかは、学校ではほとんど教えてもらえません。
「もっと自分を好きになれたらいいな」
と思って、この本に気が付いた今が、チャンスです。
自分だけのトリセツを作ってみましょう。
自分を知ることが、自信につながります。
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【全国の学校図書館・保健室へ】生きづらさを感じる小学生に〈自己肯定感〉を育む本を
評者プロフィール
實山美穂(じつやま・みほ)
大学で心理学などを専攻し、卒業後、文信堂書店に入社。文芸書・ビジネス書他担当。文芸書担当を機に本屋大賞エントリー店となり、新書担当を機に新書大賞の投票に参加し、興味の赴くまま御書印プロジェクトにも参加。基本、本を読んで猫と遊んでいれば満足。2023年4月10日をもって、文信堂書店長岡店がCoCoLo長岡より撤退。それにあわせて文信堂書店を退社し、今に至る。小説丸の、書店員さんのコラムに参加。
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