2022 優秀賞受賞、2021 選考委員MVP賞に輝いた平光源さま(精神科医)より書評をお届けします!
がんばらにゃい生きかた Jam 著 笠間書院 2022年5月発売 |
書評
今回は、Jamさんの『がんばらにゃい生きかた』(笠間書院)についての書評を書かせていただきます。
Jamさんは第一回メンタル本大賞を受賞した、『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(サンクチュアリ出版) を書かれた方です。
メンタル本というジャンルの本は、この生きにくい世の中でもっと多くの方にてにとってほしい分野の本ですが、「なんだか暗くて小難しそいう」とか、「自分が病んでいる人に思われるから書店で買うのが恥ずかしい」ということで敬遠される方も多いようです。
そんななかで、『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』は、そのかわいらしいイラストと4コママンガという分りやすさ、その「なるほど」と腑に落ちる内容の深さのバランスが本当に素晴らし本でした。
書店で立ちみして、その内容に感動し思わずレジまでもっていってしまい、生涯の友として机の上にいつもいてくれる。
そんな本として私も選考委員として一番にお勧めしていました(審査コメントはこちら)。
そんな中で、「Jamさんがまた素晴らしい本を書いてくれた」というのがこの本、『がんばらにゃい生きかた』です。
この本の最大の特色は、4コママンガより「もっと、パラパラと適当にめくってパッと気持ちが楽になれるような本」を作りたいという著者の優しい思いです。
いつも本を書くたびに
「もっと文字を減らして絵を増やしたい」と
思っていました。普段の本でも、4コマ漫画を見るだけで
内容がわかるようにと心がけていますが
もっと、パラパラと適当にめくって
パッと気持ちが楽になれるような本が
作れないかなって。出典:『がんばらにゃい生きかた』Jam 著/笠間書院(4ページ)
日常臨床の場で出会ううつ病や適応障害の方は、ただ生きてるだけで精一杯。
文章を読むのもしんどくてせっかくいい本をすすめても、「買う気力がなかった」「ネットで注文したけど、まだ本を開けていない」という方が多くいらっしゃいます。
この本はそんな生きるのがしんどい方があと一歩前にすすむだけで、気持ちがラクになる多くの言葉に出会えるような作りになっています。
そこでは余計な言葉は一切そぎ落とされ、その分Jamさんのかわいいイラストが多用されることで、「読む」から「ただ眺める」に変わるので、読み手が本当に気楽に読むことが出来るのです。
また、どのテーマも見開き1ページのなかに必要な内容が詰まっているので、「今日私に必要な言葉をください」と思いながらパッと本書を開く、いわゆる「占い読み」にピッタリです。
~「がんばらにゃい生きかた」より~
「害があるなら禁縁しよう」@kasamashoin pic.twitter.com/bCeksZd8fY— Jam (@jam_filter) October 20, 2022
私が、一番心に響いたご神託(ごにゃん託でしょうか)は、「たばこみたいに害があるなら禁縁しよう」(60ページ)です。
たばこを例にだして分り易く人間関係の極意をかわいいイラストで伝えてくれています。
他にもたくさんの珠玉の言葉がちりばめられているので、是非本書を書店で手に取って読まずに眺めてください。
きっと、この子猫(本書)をそのまま自分の家に連れていきたくなると思いますよ。
Jam様素晴らしい本を描いていただきありがとうございました。
評者プロフィール
2022 優秀賞・2021 選考委員MVP賞
平光源(たいら・こうげん)
東北地方でクリニックを開業している開業医。
高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。
3年浪人してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約20年精神科医として心のケアに当たる。
支援学校学校医、老健施設往診医、いのちの電話相談医、傾聴の会顧問など、その活動は多岐にわたる。
精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。
あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから 平光源 著 サンマーク出版 2021年4月発売 |
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