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【メンタル本大賞2021】選考委員審査コメント(平光源/精神科医)

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選考委員 平光源さま(精神科医)による「メンタル本大賞2021」ノミネート作品の審査結果をお知らせいたします。

「大賞」作品は、メンタルヘルスの専門家である選考委員の審査(各選考委員がノミネート作品の中から3作品を選定して評価ポイントを集計)により決定します(選考方法の詳細はこちら)。

審査結果・作品別コメント

1位 30 pt 多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。
Jam 著/名越康文 監修
サンクチュアリ出版
2位 20 pt 「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由
加藤隆行 著
小学館クリエイティブ
3位 10 pt 「自己肯定感低めの人」のための本
山根洋士 著
アスコム

30pt:『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』

多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。
Jam 著/名越康文 監修
サンクチュアリ出版
2018年7月発売

評価ポイント

  • 見開き2ページでシンプルで簡潔。読みやすく、非常にわかりやすい。
  • イラストや4コマ漫画がかわいらしく読んでいてほっこり癒される。
  • たとえ話がうまく、腑に落ちる。

評価理由

メンタル本を必要としている方は、とても疲れていたり集中力が低下している方が多く、文章のみの本だと途中で読むのをやめてしまう人も多いと思います。

この本は、見開き2ページの右側には4コマ漫画、左側には解説が載っています。
本当に一番苦しい時は4コマ漫画だけ読んで、その時点で理解できたらでそこで救われるだろうし、もしそれで理解できなかったら解説を読むという使い方ができるので、本を読む深さが自分で決められる点がとても良いと感じました。
読む側の心の状態をよく考えてくれている本だと思いました。

また、メンタル関係の本は手にしづらいという点もありますが、この本はかわいいイラストのおかげで、誰でも気軽に抵抗感なく手にしやすい本だと思います。

さらに、たとえ話が秀逸で、とても腑に落ちる内容が多く、メンタルが苦しいと言っても、うつの一歩手前の人もいれば、何が原因がわからないけどモヤモヤするという人もいて、そのどちらにも役に立つ本だと思います。

多くの方が手に取りやすく、わかりやすく、とても気持ちが楽になると考えこの本を1位に選びました。

Jam様、名越先生、素晴らしい本をありがとうございました。

詳しい作品紹介はこちら
ノミネート選出コメント・インタビュー・書評・内容図解・読者コメントなど

20pt:『「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由』

「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由
加藤隆行 著
小学館クリエイティブ
2019年9月発売

評価ポイント

  • テーマが一貫しているので統一性があり、納得感がある。
  • 疲れている心でも読みやすくとても参考になる。
  • 著者の経験から得られた「愛」と「智慧」が詰まっている。

評価理由

当初は「会社」と書いてあるので「職場でのトラブルにしか役に立たないのではないか」と選考対象になるのか心配しましたが、そんなことは杞憂におわりました。

愛されたい…でも愛されなくて「いじけてしまう(いじめられっ子)タイプ」と「反抗してしまう(パワハラ)タイプ」

この2つのタイプの視点でずっと話が進んでいきます。
最終的に、実は両者の求めていることは同じで「ただ、愛されたかったんだ」という流れが分かりやすいし、とても納得感がありました。

テーマがバラバラになっている本も多い中で、ずっと同じテーマで一貫していたところが、統一性があって疲れていてもグイグイと引っ張られるように夢中になって読んでしまいました。
そこには、加藤先生の挫折とそれを様々な経験や学びを経て乗り越えてこられ「愛」と「智慧」がたくさん詰まっていました。

現代のコロナ渦における【ワクチン派】と【反ワクチン派】と一緒で、言っていることは真逆だけど、どちらもやりたいことは「大事な人、愛する人を守りたい」ということ。
今の時代だからこそ伝えたい内容が詰まった一冊なので、あらゆる世代の人に読んで欲しいなと心から思い、第2位としました。

加藤先生、素晴らしい本をありがとうございました。

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10pt:『「自己肯定感低めの人」のための本』

「自己肯定感低めの人」のための本
山根洋士 著
アスコム
2020年9月

評価ポイント

  • 「自己肯定感」という1つのテーマに絞ってわかりやすく書かれた本
  • メンタルノイズとその解消というシンプルな仕組みで読みやすい本
  • エクササイズはどれも実行しやすく実用的な本

評価理由

考え方のクセをメンタルノイズと表現し、どんな種類のメンタルノイズがあって、どうしたらそのノイズを解消できるかに特化しているので、内容に一貫性があってとてもまとまっていて非常に読みやすいです。

また、著者は「メンタルノイズをキャンセルしていく作業は、どちらを選んでも〇なんだとフラットな状態を作ることでもあります。どちらも選べる。これほど楽しい選択はないですよね」と提案してくれています。

大切なのは「自己肯定感を高めること」ではなく、「本当は自己肯定感には高いも低いもなく、今の自分を認めて許すこと」ということを繰り返し伝えてくれます。
さらに多くのエクササイズはどれも実践的で、無理なくチャレンジできる内容になっているので、第3位とさせていただきました。

著者の多くの挫折と失敗から生まれた本当に心のこもった良書です。

山根先生、素晴らしい本をありがとうございました。

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ノミネート選出コメント・インタビュー・書評・内容図解・読者コメントなど

総評

今回第一回目のメンタル本大賞ということで、責任重大だと思って緊張感をもって選考させていただきました。

まず選考に際して難しいと思ったのは、何を基準にして選考するのかということでした。

私自身の経験でもそうでしたが、例えばメンタル疾患の真っただ中にあってしんどい状態の時は、内容が深くて重い本であれば開くことすら出来ないと思います。

しかし、生まれ持っての生きづらさを抱えて悩んできた人にとっては、内容が深くないと、その内容の薄さにがっかりしてしまうかもしれません。

たった一つの大切なことを様々な切り口で繰り返し書かれた本に納得する方がいれば、大全本のように網羅的に書いてある本に安心感を得る方もいるでしょう。

他にも、自己啓発本に近い「理想の私」「人生の使命」を打ち出してくれる本、その全く逆で、「ネガティブな私を肯定し寄り添ってくれる」本など、どちらに振れてもそのどちらもいい本だったりするので選考の過程でどうやって選んでいいかわからなくなってしまう時期もありました。

私にとってメンタル本大賞は、生きづらさを抱える一般の方が病気につながる橋を渡るのではなく、その方が喜びの未来へとつながる本を紹介する懸け橋となるものだと思っています。
そこで、今回は選出した作品は読みやすさと、色々な人に受け入れてもらいやすい、そして気軽に買ってもらえる本を基準に選びました。

どの本も素晴らしい本で、著者様の実体験に目頭が熱くなったり、わかりやすいたとえ話に目からうろこが落ちたり、日々ワクワクしながら読ませて頂きました。

私自身は精神科専門医なので、たいていのことは分かっていると思っていましたが、ノミネート15作品を読んで、どの本にも学ぶことがたくさんありとても勉強になりました。

ノミネート作品のすべての著者様に心からお礼を言いたいと思います。
本当に素晴らしい本をありがとうございました。

そして、沢山の困難のなか、ボランティアでこのような素晴らしいイベントを企画、運営していただいた実行委員の皆様、本当にありがとうございました。

メンタル本大賞で紹介された素晴らしい本が種火となって、1人でも多くの方の心が明るく灯されることを心より祈願しております。


平光源さま(精神科医)より 今苦しんでいる方へのメッセージ

選考委員プロフィール

メンタル本大賞 選考委員
平光源(たいら・こうげん)

東北地方でクリニックを開業している開業医。
高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。
3年浪人してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約20年精神科医として心のケアに当たる。
支援学校学校医、老健施設往診医、いのちの電話相談医、傾聴の会顧問など、その活動は多岐にわたる。
精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。

あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから
平光源 著
サンマーク出版
2021年4月発売

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平光源さまからのメンタル本大賞へのメッセージはこちら
(書評一覧はこちら

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