平光源

【書評】『がんばらなくても死なない』(評者:平光源/精神科医)

選考委員の平光源さま(精神科医)より、ノミネート作品の書評をお届けします!
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がんばらなくても死なない
竹内絢香 著
KADOKAWA
2020年7月発売

書評

メンタル本大賞選考委員としてますます気合いが入ってます!
月曜日の書評シリーズ。

今回は竹内絢香さんが書いた『がんばらなくても死なない』(KADOKAWA)です。

いつものように良いところを3つに分けて解説しますね。

1.全編漫画で本当に読みやすい本

この本は、『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(Jam 著、名越康文 監修/サンクチュアリ出版)が4コマ漫画と解説だったのに対して(※書評はこちら)、100%全編カラー漫画です。

なのでとても読みやすく、1時間もかからずに読んでしまうことができました。

それでいて、生きづらさを解決するのに大切なヒントが1話完結で30個も書いてあります。

著者の人を傷つけることのない優しい言葉のチョイスもあって、どこもひっかかることがなく、すらすらと読めてしまう本当に読みやすい本でした。

2.「そうそう」「あるある」のてんこ盛り!共感の嵐の本

この本の特徴は、小さい頃から引っ込み思案で相手に合わせるのが得意、ノーと言えずに無理をして頑張ってしまう、でも我慢してしまうとイライラや落ち込みが顔に出るという女性が主人公であることに尽きます。

その女性が少しずつその生きづらさに気づき、それを色々な人の言葉の力と実体験での学びを通して乗り越えていくというスタイルをとっています。

そしてその著者の生きづらさの内容は

「そうそうそれある!」
「それすごくわかる、私も同じ!」

が本当に多く、著者への共感がページを読み進めるごとに増すので、すっかりこの本の虜になります。

私も、自分は人に共感したい、そして人に共感されたいんだなぁということにあらためて気がつかせてもらいました。

3.心があったかくなる1冊

先程も述べましたが、この本の著者の竹内絢香さんは何より心がポカポカあったかい方で、それが漫画や文章全体から伝わってきます。

例えば56ページの

SNSはハイカロリー
心の調子を見て摂取はほどほどに

風邪をひいているときはおいしいものでも食べられなくなるみたいに
元気じゃないとSNSでも胃もたれしてしまう

(中略)多様な情報を日々紹介していくには
けっこうな気力と体力が必要だと感じる

だから楽しめないと感じたら意識して離れて
「心の調子を整える」のも大事なのかなぁと思う

SNSを離れた時期
私はひたすら自分の好きな本を読んでいた
私にとってはこれらが「おかゆ」みたいな存在だったのだと思う

出典:『がんばらなくても死なない』竹内絢香 著/KADOKAWA(p54・55)

SNSをビックマック風のハンバーガー、自分の好きな本をお粥に見立てて、疲れているときはSNSから距離を取り、お粥で回復させるようにとわかりやすく優しく伝えてくれます。

作画の優しさも相まって、読んでいるとまるで温泉につかっているかような、お花畑にピクニックに来ているようなそんな感じのまったりとした感覚になります。

著者のあったかい心のエネルギーが伝わってきて、読んでいる方の心もあったかくなる不思議な本です。

まとめ

この本を五七五でまとめると

読みやすく 共感できて あたたかい

「生きることはそんなに頑張らなくって大丈夫。もう少し、こうあるべきと上げたハードルを下げてみませんか?」

というメッセージが本全体に散りばめられていて、読む人の気持ちが本当に楽になります。

書き方は違っても私の書いた本、『あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張ってきているから』(サンマーク出版)と目指す道は全く同じです。

メンタルの病気になる前の方や、人生をがんばりすぎて行き詰まっている方に是非読んでいただきたい本です。

竹内絢香先生、すばらしい本をありがとうございました。

出典:平光源さまFacebook投稿(2021年7月19日)

評者プロフィール

メンタル本大賞 選考委員
平光源(たいら・こうげん)

東北地方でクリニックを開業している開業医。
高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。
3年浪人してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約20年精神科医として心のケアに当たる。
支援学校学校医、老健施設往診医、いのちの電話相談医、傾聴の会顧問など、その活動は多岐にわたる。
精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。

あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから
平光源 著
サンマーク出版
2021年4月発売

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