昨年、選考委員としてご協力いただいた川本義巳さま(公認心理師&メンタルコーチ)より、エントリー作品の書評をお届けします!
今日こそ自分を甘やかす 根本裕幸 著 大和書房 2021年12月発売 |
書評
この本の感想をひとことであらわすと
「そもそも間違えてたぞ!自分!!」
はい。目から落ちまくりでした。
自分に甘く、自分を大切にしていたのに……
自分に甘やかすというか「自分に厳しい」という人、多いと思います。
そういう人がメンタル的にしんどくなったとき誰かに相談すると「もっと自分を大事にしなよ」とか「自分を甘やかしてもいいと思うよ」というアドバイスを受けるたりするわけですよ。
ところが本人としてみたらもともと自分に厳しくしているつもりなくて、自分は自分に甘いと思っているからそれを解消しようとしているだけなんですよね。
そもそも本当は自分に甘く、自分を大切にしていたのに、どこかのタイミングで「それはダメだ!」にしてしまった。
その結果が「しんどい人生」になっているわけ。
この本を読むとそのカラクリに気付くことができます。
それぞれの項目が2~3ページで簡潔に書かれていて、とても読みやすいです。
核心をつく「Question」と「Work」
そしてそれぞれの文末に必ず「Question」か「Work」があって、読者が考えたり行動をしたりできるようになっています。
例えば「Question」には
あなたが今、社会の目を気にしてチャレンジしないようにしていることはどんなことですか?
また過去のあなたにそのような経験はありませんか?(p31)あなたが「私はマジメすぎるな」と感じるシーンはありますか?
それは自分を苦しめていますか?
それとも自分の役に立っていますか?(p43)出典:『今日こそ自分を甘やかす』(根本裕幸 著/大和書房)
そして「Work」には
あなたの中に「他人は許せるけど、自分は許せないこと」が、どれくらいありますか?(p56)
あなたの今日のベストはどれくらいかを設定するクセを付けてみませんか?(p91)
出典:『今日こそ自分を甘やかす』(根本裕幸 著/大和書房)
という風に、短いけどズバリ核心をつく言葉が書かれています。
ちょっと思いついたんだけど、まずこのQuestionとWorkをやってみてから本文を読んで、
そのあともう一度QuestionとWorkをやってみると、すごく理解できるんじゃないかな?
全体的にコンパクトで読みやすい本ですが、中身は結構鋭いところ突いてます。
「最近ちょっと張りつめているなあ」と思う人に……
個人的には、p192の「『人に頼る・お願いする・甘える』を使命とする」というのがあって、これが一番ヒットしました。
そうなんだよね、特に男性はそうかもしれないんだけど、人に頼ることが超苦手。
それで一人でなんとかしようとしてつぶれてしまったという話を嫌というほど聞いてきたので、ここはとても重要なポイントなんですが、「使命とする」という言葉が入るとなんだか「頼まなければならない」みたいな感じで気合が入るというか、「そうすることが当たり前」みたいになるから不思議ですよね。
この本では頼ることを使命にするための方法も書いてあるので「これならできる!」と思う人多いんじゃないかな。
幸せを感じるためには常に糸が張ったような状態では難しいです。
やっぱり緩みは必要。
「最近ちょっと張りつめているなあ」と思う人や「頑張ってるけどうまくいかないなあ」と感じている人はまずこの本から「これでええやん」ということを学びましょう。
QuestionとWorkだけでも手元に置いておく価値ありますよ!
評者プロフィール
メンタル本大賞2021 選考委員
川本義巳(かわもと・よしみ)
三重県松阪市生まれ津市在住。
うつ専門メンタルコーチ/公認心理師/一般社団法人エフェクティブコーチング協会代表理事。高校卒業後、SEとして20年以上メーカーに勤務。大手IT企業への転職を機にうつ病を発症、寝たきり状態になり、1年2か月の休職を余儀なくされる。2007年コーチングに出合い、うつ病を完全克服。それを機にうつ専門のプロコーチになることを決意。コーチング、NLP、アドラー心理学、エリクソン催眠を学び、それらを応用したメソッドを開発し、2010年個人コーチングを開始。自治体や上場企業でのメンタルヘルス研修講師や精神科クリニック、児童相談所、教育委員会での相談業務等でも経験を積み、10年間で1万件以上の相談、指導を行っている。
1日3分でうつをやめる。 川本義巳 著 扶桑社 2019年10月発売 |