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【書評】『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』(評者:一條仁/社会福祉士)

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本業の傍ら、恩送りをカタチにした「ペイフォワードカフェ」という取り組みを行っている一條仁さまより書評をお届けします!

「メンタル本大賞®2023」エントリー作品

『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』高井祐子 著(大和出版) 「自分の感情」の整えかた・切り替えかた
高井祐子 著
大和出版
2022年5月発売

書評

『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』(高井祐子 著/大和書房)について書いていきたいと思います。

本著の中で印象に残った3つのことばを紹介した後に、本著全体の感想を書きたいと思います。

① カドは立ててもいいんです。(93ページ)

このことばだけ切り取ると、どういう意味?となりますよね。笑

著者は、場の空気を読んで、自分を思い詰めたことはありませんか、と問いかけます。

自分の意見を押し殺すことで、自分を押さえ込んだ経験。
相手の常識と自分の常識が違って、苦しんだ経験。

場を荒立てないために立ち回ることで、自分を犠牲にしていないか、ということですね。

こういう立ち回りを続けることで、「自分軸」を持ちづらくなってしまいます。

「カドを立てないように」と思いすぎると、何も言えなくなってしまいます。
カドは立ててもいいんです。

出典:『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』高井祐子 著/大和出版(93ページ)

「カドは立ててもいい」

このことばは、そんな立ち回りを続けている方に届けたいことばです。

② 「こころ」と「からだ」と「生活」は三位一体(146ページ)

「こころ」と「からだ」はつながっている。

様々な本でそのことに触れております。

しかし、そこに「生活」の観点が加わっている本ははじめてでした。

著者は、「生活習慣の見直し」が自尊感情を高める、と言います。

深夜までゲームをしている、SNSやネットサーフィンを長時間行って気持ちが落ち込む、など、心の不調は対人関係だけの問題ではなくなってきました。

こころにのみスポットを当てるだけでは不十分で、睡眠。食事、運動など「生活臨床」に重点をおく必要が出てきています。

出典:『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』高井祐子 著/大和出版(145ページ)

だから、こころの健康のために、意図的に生活を見直す必要があるということです。

睡眠習慣はストレスの低下につながっているという研究もあります。
「こころ」と「からだ」の二つだけではなく、これからは「生活」もセットにして考えることが大切なのだとおもいました。

③ 何もしなくてもいい。何もできなくてもいい。そのままでいいんですよ。(207ページ)

著者は長年臨床の現場で活動されてきた方です。
生きるだけでしんどい思いをしてきた方とたくさん出会ってきたと綴っています。

そんな著者だからこそ、上記のことばに重みがあります。

この章では死生観について考えてみましょう、と問いかけています。

生きることは大変なこと。
「なぜ生きなければならないのか」、そんな問いに対する答えを見出すために、私たちは生きているのかもしれません。
「死」と「生」は、実は隣り合わせ。だからこそ、生きる。

出典:『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』高井祐子 著/大和出版(206ページ)

何のために生きるのか。
あるいは、「生きなければならないのか」。

答えはないかもしれません。

生きていてほしい。
そんな願いが綴られています。

苦しんでいる人には、そっと上記のことばをかけてあげられるような人間でありたいものです。

まとめ

本著は、感情を整えるために必要な考え方を、具体的なワークを通じて身につけさせてくれる本です。

本を読んでいる間は、自分の内面に焦点をあてることができます。

自分はどう考えているのか。何に悩むのか。自分を知るうちに、感情が自然と整ってくる。そんな感覚を憶えました。

感情が乱れているときは本を開くのもしんどいかもしれません。なので、読みやすいところから読む。5分だけでも目を通す。そんな使い方ができる本です。ぜひ手に取ってみてください。

評者プロフィール

メンタル本大賞 選考委員:一條仁さん(社会福祉士)
一條仁(いちじょう・ひとし)
福島県出身。2015年福島大学卒業、2017年同大学院中退。在学中は震災復興支援活動に尽力。福祉系NPOでボランティアをしたことをきっかけに、障がい者就労支援事業所に就職。海外研修で豪・シドニーに滞在し、オーストラリア福祉を学ぶ。帰国後、福祉ベンチャー企業に転職。「支援者支援」に着目し、福祉人財の育成・採用業務等に関わる。現在はIT企業にて障がい者雇用専門人事として従事。複業として、善意の循環をカタチにした「ペイフォワードカフェ」の開催や教育機関等での講演活動を行う。「思いやりを広げる人を増やす」を自身のミッションとして実践を重ねている。

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