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【書評】『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』(評者:寺田真理子/日本読書療法学会会長)

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2022選考委員MVP賞を受賞。日本読書療法学会を設立して、読書セラピーの研究と実践を続けてきた寺田真理子さまより書評をお届けします!

「メンタル本大賞®2023」エントリー作品

『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』高井祐子 著(大和出版) 「自分の感情」の整えかた・切り替えかた
高井祐子 著
大和出版
2022年5月発売

書評

落ち込みが続いてしまうとき、そこから抜け出すきっかけは人それぞれです。

考え方を変えることだったり、言葉遣いに意識を向けることだったり、食事や睡眠を見直すことだったり。
人によっては、少しスピリチュアルなことがきっかけになるかもしれません。

何が自分にとってのきっかけになるかは試してみるまでわからないものですが、この本はそのためのヒントをとてもバランスよく網羅しています。

公認心理士かつ臨床心理士の著者は、長年のカウンセリング経験を通して、心のケアだけでは問題解決には不十分だと感じるようになりました。
そこから、日々の暮らしを見直し、心と体を整える「生活臨床」を重視するようになったのです。

私も心のバランスを崩していたときは、生活全般が乱れていました。
寝つけなかったり、逆に長時間眠り続けたりして、睡眠のリズムがおかしくなっていました。
食事に関しても、ストレス解消のために甘いものを大量に食べていました。
そのためにかえって精神的なバランスを崩してしまっていたのですが、当時は知識がなく、そうとは知らずに食べて状態を悪化させてしまいました。

きっと同じように、生活が乱れている方も多いことでしょう。
どこから軌道修正すればいいかわからず、途方に暮れてしまっているかもしれませんね。

そんな状態から抜け出すための知識が、この本の中ではワークとともに紹介されています。

「無意識の口ぐせを書き出してみる」など、どのワークも見開き2ページで完結しているので、気になったものをやってみましょう。

日常生活を見直すことで確実に心も整えていけるとわかっていたら、希望を持って少しずつ取り組めるのではないでしょうか。

不調がどこからきているのか調べるための「セルフモニタリング」も提唱されています。

自分のことは意外と知らないものなので、生活記録をつけることで気づくことがありますし、自分と上手に付き合っていく手がかりを与えてくれるはずです。

表紙には、やわらかいピンク色とかわいらしいイラスト。
その優しい印象は、内容をそのまま表しています。

特別優れていなくても、世の中の役に立っていなくても、あなたは生きているだけで、最高に特別な存在です。

出典:『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』高井祐子 著/大和出版(213ページ)

きれいごとではなく、著者が本当にそう信じているのだということが文章から伝わってきて、一人ひとりの存在への温かいまなざしに励まされます。

評者プロフィール


メンタル本大賞2022 選考委員MVP賞
寺田真理子(てらだ・まりこ) 

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在し、ゲリラによる日本人学校脅迫や自宅の狙撃を経験。東京大学法学部卒業。多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演・執筆・翻訳活動。読書によってうつから回復した経験を体系化して日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。また、うつの体験を通して共感した認知症について、パーソンセンタードケアの普及に力を入れている。著書、訳書多数。日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー。

心と体がラクになる読書セラピー
寺田真理子 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2021年4月発売

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