『ほどよい距離が見つかる本』(すばる舎)などの著書で知られる、古宮昇さん(心理学博士/公認心理師・臨床心理士)のインタビューをお届けします!
古宮さんにインタビューしたかった理由
- 著書やオフィシャルサイトでも明かしている、心の傷を負った経験があること
- 自身の癒しと成長のために、現在もお金を払ってプロのカウンセリングを受け続けている、その向上心に感銘を受けたこと
- 自己肯定感を高めるために、「自分も相手も許す」だけでは問題解決の途中である、というメッセージの真意を確かめたかったこと
- 古宮さんが大切にしている「スピリチュアリティ」は、あやしいものではないか…… との疑念があったこと
スピリチュアル本を読んだ経験がなかったため、あらかじめ古宮さんより提示を受けた推薦作品(下記)を事前に読んだうえで、インタビューに臨みました。
担当:成瀬俊昭(メンタル本大賞実行委員)
古宮昇さんインタビュー【PART1】
5回にわたってお送りするロングインタビュー!
今回はPART1をお届けします。
(上段)古宮昇さん
(下段:聞き手)成瀬俊昭・細貝しょう[メンタル本大賞実行委員]
― 古宮さんの著書で、読者に伝えたかったメッセージは何でしょうか?
共通しているのは、多くの人に自分への愛を深めてほしいという願いです。
自分を受け入れる、愛おしく感じる、慈しむといった感情ですね。
これらが人生で何よりも大切な一番の根本のように思います。
― 「自分への愛」とは、自己肯定感を高めるということでしょうか?
自己肯定感については、多くの人が勘違いしているのではないかと思っています。
「長所を見つけましょう」というアプローチをしている方は、少なくないと思うのですが、実はおすすめできないんです。
なぜなら自分の短所が見えるときが必ず来て、崩れてしまうからです。
「この長所があるからいい」「こんな立派なことをしたからいい」という姿勢だと、一生懸命それを維持し続けなければなりません。
私たちが本当に求めているのは「無条件の愛」です。
「ありのままの自分がいい」と自然に感じられるようになることが、本当の解決だと思います。
ほどよい距離が見つかる本 古宮昇 著 すばる舎 2020年12月発売 |
内容紹介
人の目を気にして言いたいことが言えなかったり、人を優先しすぎて自分のことを後回しにしたり、人に与えすぎて損をしたり、あるいは、相手に執着しすぎて破滅的な関係に陥るなど……人と境界線を引けないと困ることはたくさんあります。
本書は、本来、たくましく楽しく生きられるはずの私たちが、自信がもてず、自己肯定感も低くなってしまう理由を探りながら、どうすれば自分の心に安全な防御壁を作り、人と適度に付き合いながら、楽しく心おだやかに生きていけるのかを丁寧に指南した1冊です。
心の病まではいかないものの、日々の人間関係に疲れ、ストレスを感じている大勢の方が生きやすくなるための秘訣をセラピーなどを交えて紹介しています。
(すばる舎サイトより)
― 著書『ほどよい距離が見つかる本』では、かなりのページを割いて、心理カウンセリングを受けることをおすすめしていますね。
自分一人で苦しむよりも、プロのカウンセラーの支援を受けながら取り組むほうが、道が拓ける可能性が高いと思います。
自分のことを好きになれないとき、私たちは必ず他人を責めています。
見下したり、否定したり、腹を立てたり、攻撃したり……。
他人を責めている人の心の奥底には、必ず「傷つき」があるので、ただ「他人を責めてはいけません」というやり方ではうまくいきません。
その傷を少しずつ癒すことにより、他人を責めることがなくなって、心が軽くなります。
心が軽くなればなるほど、自分のことも責めることがなくなっていきます。
― 自分一人ではなかなか難しそうですね。
恐がられる方もいらっしゃるのですが、プロのカウンセラーや心理療法にぜひ頼って欲しいと思います。
実際に受けてみると、心が楽になることがわかります。
そんな抵抗感を抱いている方の背中を押せたらいいな、という気持ちでこの本を書きました。
PART2 につづく |1|2|3|4|5|